大波小波、それでも君は意志を貫けるか


二日目最初のナビゲーターは、湘南の海から来たポセイドンこと今村直樹さん。みんなにアウトリガーカヌーについて教えに来てくれました。

まずはパドルの使い方をエアーで練習。アウトリガーカヌーは、南太平洋の島々に生きる人々から受け継がれてきた神聖な文化。彼らは、先祖への祈りや豊作への願いといった意志を抱いて海へと漕ぎ出していたそうです。


 そのあとはいよいよ海へ!快晴の空の下で波立つ海が宝石のように光ります。やや風はありますが、波の高さは程よく、天も子どもたちの挑戦に味方しているようです。カヌーに乗る前に、ゆだね石を海へと返します。

自分で選んだお気に入りの石を、あえて海へとゆだねてしまうことで、自分の意志を超える大きな存在に身を委ねる柔軟さを養います。海は、時として人間の意志ではどうしようもできない大きな力を持ちます。そうした自然の意志に自分の身を「委ねる」ことも人間が持つ意志の一種でしょう。


 砂浜ではポセイドンの仲間たちがカヌーとパドルとともに待ってくれていました。本物のパドルを持ってもう一度漕ぐ練習をしたら、ついに大海原へ。海の上で頼れるのはパドルとカヌーの上の仲間だけ。自分の意志だけでは、6人で力を合わせて進むことはできません。仲間の意志を大切にし、波という自然の意志に自らを適応させ、そうして初めてカヌーは前へと進みます。

10分ほどで子どもたちは無事に砂浜へと戻ってきました。砂浜から見えないほど遠くまで漕いで戻ってきた彼らの顔には達成感が滲んでいます。「疲れた」以上に耳にしたのは「楽しかった」という声。カヌーを漕ぐという動的な活動によって子どもたちの心も活発になったようで、漕ぐ前よりも口数や笑顔が増えた子が多い印象でした。